太宰府天満宮の名物、梅ヶ枝餅。
西鉄太宰府駅を降りて目の前に広がる参道を歩けば、店先で梅ヶ枝餅を焼いている光景をたくさん見ることが出来ます。
参道だけでも梅ヶ枝餅のお店は約20店舗。
こんなにたくさんあったらどのお店で買えばいいのか迷っちゃいますよね。
梅ヶ枝餅はお持ち帰りもいいですが、ぜひ焼き立てをその場で食べてほしい。
早く食べたくて目についたお店で買ったはいいけど、次から次へと登場するお店に「ここのも食べてみたかった!」なんてこと、結構あるんです。
どこのお店も美味しいので失敗するなんてことは無いのですが、生地とあんにビミョーな違いがあり、好みが分かれるところ。
一度に何個も食べられるものでもないので、事前にお店を決めておけたらいいですよね。
そこで今回は地元でも定評のある老舗3店舗を選び、食べ比べをしてみました。
自分好みのお店を決める参考にしてみてください。
太宰府天満宮で食べる「本物」の梅ヶ枝餅
西鉄太宰府駅を出ると太宰府天満宮へ続く参道は目の前です。
東西に延びる約450メートルの石畳の参道には約80店舗のお土産屋さんが立ち並んでいます。
太宰府天満宮で梅ヶ枝餅が買えるお店は30店舗以上。
そのなかの約20店舗がこの参道に集まっています。
この太宰府天満宮のお店は全て「太宰府梅ヶ枝餅協同組合」に加入し登録商標を取得。
価格も組合で定められているため、どのお店も同じ1個150円。(※2023年2月現在)
太宰府天満宮なら本物の梅ヶ枝餅を安心して購入することが出来るってことです。
梅ヶ枝餅だけど「梅」は使っていない
そもそも梅ヶ枝餅とはどんなものかご存じですか?
梅ヶ枝餅とはもち米とうるち米の生地に小豆あんを入れて焼き上げたもの。
ん?梅は?
「梅ヶ枝餅」とは、浄妙尼という老女が左遷され貧しい生活を送っている菅原道真を哀れんで、餅に梅の枝を添えて送ったのが由来とされています。
「梅」なだけに梅の味や香りがするお餅だと思われそうですが、「餅に梅の枝を添えた」のが始まりだったんですね。
ということで材料に梅は一切入っていません。
梅の刻印が押されているものが梅ヶ枝餅の印。
梅の味を期待して食べないよう注意してくださいね。
菅原道真の誕生日と命日である、毎月25日にはヨモギ入り梅ヶ枝餅を販売。
毎月17日には九州国立博物館開館10周年を記念して作られた古代米入り梅ヶ枝餅が販売されます。
タイミングが合えば購入できるかもしれませんよ。
参道の梅ヶ枝餅おすすめ3店舗を食べ比べ
参道には約20店舗の梅ヶ枝餅店がありますが、その中でも昔から味に定評のある3店舗をご紹介します。
皮が香ばしい「やす武」
1つ目の鳥居を過ぎて右手に見えてくるのが「やす武」。
一番最初に登場する大きなお店なので、知らない人も思わず飛び込んでしまうかも。
でも、地元でも人気のあるお店なので間違いは無いですよ。
こちらのお店は梅ヶ枝餅の他に店内で食べることが出来る蕎麦が有名。
毎朝手打ちして作られる蕎麦は風味豊かでおすすめなんです。
蕎麦も気になるところですが、今回は梅ヶ枝餅の食べ比べ。
という事でさっそく食べ歩き用に1つ購入してみました。
食べ歩き用はどのお店でも購入でき、焼き型から取り出したばかりのアツアツを紙に巻いて渡してくれます。
こちらが「やす武」の梅ヶ枝餅。
やす武の梅ヶ枝餅の一番の特徴は「生地」。
皮がパリッパリで香ばしいんです。
これはお持ち帰りでは味わえないと思うので、パリッパリが好きな人は焼き立てを食べるべし。
生地は厚く、とってもモチモチしています。
生地の存在に押され気味の餡は甘さ控えめのあっさり系。
甘さが苦手だからアンコは少なめがいいな、って人は間違いなくこの「やす武」です。
生地も餡も申し分ない美味しさです。
そしてこれが「古代米入り梅が枝餅」。
訪れた日がたまたま17日だったのでラッキーでした。
古代米独特な風味は特に無く、あっさりと食べやすかったです。
老舗の味「かさの家」
創業は大正11年。
旅人に宿と食事を提供する旅籠(はたご)として始まった「かさの家」。
その当時から販売し続けている梅ヶ枝餅は今も昔も変わらず大人気。
老舗ならではのおもむきに加え、現代風の要素を取り入れたオシャレな店構えは、若い世代が思わず立ち寄ってみたくなる魅力があります。
この「かさの家」の横には、木造建築のオシャレな甘味処「茶房・ぎゃらりー」があり、落ち着いた雰囲気の中、梅ヶ枝餅付きの抹茶セットを味わうことが出来ます。
その他にも手ぬぐいを専門に扱う「てのごい家」など、梅ヶ枝餅に留まらない「かさの家」はこの太宰府天満宮参道一の有名店。
そんな「かさの家」の梅ヶ枝餅とはどんなお味なのでしょう。
食べ歩き用に購入した梅ヶ枝餅は出来立てのアツアツ。
生地にはこんがり焼き色がついてパリッとしています。
生地と餡のバランスが丁度いいです。
しっかり練り上げられた餡は、甘みは強めですが味わい深く上品。
そんな存在感のある餡に負けないくらい生地も厚みがありモチっとしています。
食べた時に口の中で餡と生地をどちらも感じることが出来る、梅ヶ枝餅の基本となる一品ですね。
初めて梅ヶ枝餅を食べるならまずはこの「かさの家」から始めると良いかも。
ここを基本にして他のお店と食べ比べると違いが分かりやすいかもしれませんよ。
餡が美味しい「きくち」
二つの鳥居を過ぎ、参道最後の鳥居の手前に位置しているのが「きくち」。
店頭の赤のちょうちんが目印ですが、ちょうちんを見るより先に店の前に出来た行列で気づくと思います。
参道の一番最後の場所にありながら大人気なのは、みんなその味を知っているから。
色々食べてみて、「やっぱりきくちは美味しいよね」ってたどり着くお店なのです。
お店の間口がとても狭く、店内に入るのも一苦労。
店の外に並んでいる行列に驚きますが、その列はこの細長い店内の奥にも続いているんです。
ちょっと並ぶ気がしなくなる光景ですが、次から次へと焼かれている梅ヶ枝餅なので、進むのも早いです。
(前の人が何十個って注文したりすると進みが止まっちゃうこともあります)
バラ売りもしてますが、せっかくこの列に並んだのならぜひお土産用も購入してくださいね。
梅ヶ枝餅一筋の「きくち」は、60年前に初代店主が考案した製法と味が大人気となり、今も変わらずその味を引き継いでいます。
先ほども言いましたが、梅ヶ枝餅は焼き立てとお持ち帰りでは食感が全く変わります。
きくちはお土産用としてお持ち帰りにすることが多いため、しっとりとした食感のイメージが出来上がっていたのですが、今回食べ歩き用に焼き立てを食べてみると、皮はパリッ、中はモッチリしていて「さすがきくち、皮も美味しいな」って今更ながら感動しちゃいました。
きくちがなぜこんなにも人気なのかというと、それは「生地」ではなく「餡」にあります。
生地は薄皮の為、圧倒的に餡の存在感が大きく、その餡が非常に美味しい。
きくちの餡は、しっかりアク抜きされた小豆を使っているため、ふつうの餡より赤い色をしています。
そのため雑味が無く、豆の味がしてとっても美味しいんです。
そして決め手は味付け。
食べた瞬間分かりますが、塩味が少し強め。
あんこだからもちろん甘いのですが、ほのかに感じる塩味が絶妙なんですね。
甘ったるくなりがちなあんこの味を引き締めてくれています。
焼き立てを食べると生地の存在を感じることが出来ましたが、少し冷えた状態で食べると、皮のパリッと感が無くなるため、あんこを食べているような感覚。
この「きくち」の梅ヶ枝餅はあんこが大好きな人におすすめです。
まとめ
太宰府天満宮の参道にある梅ヶ枝餅店は約20店舗。
どこのお店も美味しいのですが、よく比べてみると生地の厚みやモッチリ感、餡の量や甘さなどが微妙に違うんです。
その違いからか、人気店というのはいくつか存在し、確かにどれも美味しい。
今回はその人気店である3店舗の梅ヶ枝餅を食べ比べ、その違いを検証。
結果、人気店の3店舗にもそれぞれに特徴があり、味も違っていました。
餡が多めがいいのか、厚めの生地が良いのかなど、自分の好みのお店を探す参考になると思いますよ。